Saturday, December 18, 2010

マディソン:ウェーディングセクション

クエイク湖を形成した土砂崩れは、マディソン川を完全に堰き止めた訳ではなく、滝にちょっとだけ傾斜がついた様な激しい流れを形成し、かつ河原は切り立った大きな岩ばかり。この光景はとても脅威的である。そして流れがやや平らになる辺りから、下流の町エニス(Ennis)まで"50-mile Riffle"(80kmの早瀬)と呼ばれる。とにかく速い!!休み無しで一気に駆け抜ける川、こんなのはマディソンだけである。初めて車で近くを運転したとき、「こんなのどうやって釣るんだろう?本当にトラウトいるの?」と思ったものである。しかし、本を読んだり、ガイドを雇ってかつ自分でも習っていく内に、わかって来た。そして自信と確信になった(だからガイドになろうと決意したのですけど)。日本には無いこんな大きい川を通して習ったことは、大きい川は小さな川の集合であるということ。つまり部分づつに切っていって、ポイントをしぼればいいのだ。「木を見て森を見ない」というが、マディソンやイエローストーン川に面すると、日本人アングラーは「森を見て木を見ない」つまり大河という森を見てしまって(かつ威嚇されて)、数々の小さなポイント=木を見られなくなってしまうと気づいた。簡単かつ誰にでも起こる例として、「10m先の岩の後ろにキャストしたいから、3mくらいウェードしてみよう」とすると、その一歩目に45cmクラスのトラウトを驚かせてしまう、なんてことがしばしばある。言葉では言い表せない。そんなマディソンでの数々の経験が私の釣りの態度・知識をシェイプアップしてくれて今に至るのである。
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80kmにも及ぶ速い流れの内、始めの16km程はウェーディングによる釣りだけで、ボートを降ろせるけど、ボートからの釣りは禁止。まず最も人気のあるアクセスのひとつであるレイノルズ・パス(という名の橋)がある。5月末の雪解け水による濁りと高水位の状況の中、経験豊富なガイドさんのおかげで、丸々健康なブラウンを釣った。これは私の釣りのスタイルが形成されていった時期だ。

秋には綺麗に色づいたブラウンが釣れる。

レイノルズから3kmほど下流にはまたしても公共にオープンなアクセスがある。一般的に"$3 Bridge"(3ドル・ブリッジ)と呼ばれる。というのは、この辺は住宅地やリゾートの開発とそれによる私有地独占を防ぐため、今現在土地を所有する牧場主と環境保護団体をサポートするため、つまり公共の釣り場を維持するため、駐車場にある金庫に3ドルを納めるのだ。まあ私は常に金庫の対岸に駐車してこちら側を釣るのでわざわざ歩いていけないけれど・・・・・・・・・・・・・・・(笑)

典型的なマディソンのレインボー。ほとんどのキャッチは35から40cmの固体。

ホワイトフィッシュもお忘れなく。

もちろん40cm以上のトラウトもたくさんいる。ドライフライ、ニンフ、ストリーマーどれにでも可能性はあるが、7月と8月の夜遅くまで(10時過ぎまで!!)大き目のトラウトはメイフライやカディスにライズするのである。この盛り上がった背中!!

$3ブリッジの駐車場の真下で、暗闇の中メイフライのスピナーのウェットフライをスイングしたら、45cmのレインボーがガブリと来た!!このポイントは日中たくさんの人々が歩いてかつ騒いでいる場所でとても釣りにはならない。でも夜にはこんな大きなトラウトでも警戒心を下げて岸辺のゆったりとした場所に来るのである。

さらに下流に行くと、Pine Butte(パイン・ビュート)というセクションがある。パインとは写真に見えるよう松ノ木のこと。 このセクションはあまり人気がない。もし他の釣り人がいても、たいてい1時間以内にあきらめて他の場所へ行ってしまう。というのは、たいていの人々はどうやって釣ればいいのかわからないまま、上流同様たくさんのトラウトがいるのにあきらめてしまうのだ。決して釣りが難しい訳ではない。ただ、どうやって流れを読んでポイントを絞っていくのか。だからこのセクションはあまり人を引き付けない。

2008年の誕生日にこのセクションを釣り上がって、ドライフライでその日の最初のライズにしっかり合わせたブラウントラウト。マディソンが誕生日を祝ってくれたみたいで本当にうれしかった。

このウェーディング・セクションを釣るのに一番楽しい時期は実は7月と8月なのです。夏休みの人々がたくさんいるだろう、と思う方もいるかもしれませんが、マディソンにおいて本当に狂想曲な時期は6月末と7月初め。この時期は大き目のカワゲラがハッチするというので、アメリカ中からたくさんの知ったかぶりの釣り人が訪れるので本当に人だかり。それでいて誰も釣れない!!という状況になる訳です。逆に盛夏になるとイエローストーン公園近郊へのキャンプやハイキングを楽しむ人々は増えても、マディソンを釣る人々は逆に少なくなっていきます。ただロッドを振るってむしろ水浴びを楽しんでいる人々ばかりで、真剣にフライフィッシングをしているならたくさんのスペースがあります。
釣りでも観光でもその他人生における何でも、観察・洞察は大切ですね!!!

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