Thursday, February 3, 2011

ファイアーホール川:奇妙な川と複雑なハッチ-その1

イエローストーン国立公園内のファイアーホール川は、「地球上で最も奇妙な川」と呼ばれている。まず、公園南西部には間欠泉が多く、たくさんの観光エリアである。釣り人は観光客とバッファローなどの野生動物に囲まれながら釣りを続けるのだ。そして、その栄養豊富な温泉が流れ込むから、メイフライやカディスの固体が豊富で、つまりトラウトの個体数も多いのだ。私は滅多に観光のために車を停めて写真を撮らないので、ファイアーホールの景色の写真はこの滝のみ。秋にはヘブゲン湖から産卵期のトラウトがマディソン川を溯上し、この滝まで上がってくるのだ。


ファイアーホールのトラウトはその豊富な個体数のため、生存競争が高く3~4年周期で世代交代するそうなので、ほとんどのキャッチは10~12インチ(25~30cm)くらい。いわゆる”尺物”が釣れたらうれしい、という感覚は日本の渓流と同じですよ!!もちろん生き残りの大物もしばしば報告される。ブラウンとレインボーが半々に存在すると言える。
======================================
ファイアーホールが釣り人を集める理由は、まずその豊富な水生昆虫によるドライフライでの”マッチ・ザ・ハッチ”がシーズンを通して期待できること(注意:夏場は間欠泉のおかげで逆に水温が高くなり過ぎてしまうので、魚を休めてあげましょう)。そして、それらの釣り人が期待を外されて泣かされて帰る理由は、ファイアーホールのハッチは困難かつ複雑であること。地元のフライ店やガイドなども毎年いろいろなことを習って、新しいフライ・パターンを研究しているのだ。
私自身の、そんな複雑なハッチとそれを乗り越えた貴重な経験を二回に分けてポストしようと思う。昨年の6月末の釣行で、26日、27日、28日と三日連続で午前中は公園内のマディソンでカディスとPMDのマッチ・ザ・ハッチで爆釣して、午後はマテリアルを買ったりとかモーテルで昼寝して、夕方ファイアーホールのMuleshoe Bend(川がラバの蹄鉄のように曲がるセクション)に向かった。ここはファイアーホールの全体でも、最も有名かつ釣り人泣かせの典型的な場所だ。トラウトは写真左の岸に沿った深い流れに潜みそこからライズする。まず左岸に立って、あるいは膝をついてストーキングしつつキャストしても、たいていラインとリーダーの影やドラッグなどで、トラウトに相手にされない。写真の右岸に渡ることも可能で、そこから左岸まである程度ウェーディングできるが、まず溶岩から形成された川底は、普通の川の石や岩などの川底とは違うので一歩づつ注意が必要である。そして、いざ右岸から左岸へキャストすると、川の流れは速くないからメンディングとドラッグ・フリーを行うのは簡単に思えるが、たいてい写真手前=私が立ってる側=の山から、写真奥へ向けて”山おろし”が吹いているのだ。風が止んだ一瞬にキャストとメンディングするか、逆に風を利用してアップストリーム・キャストでなんとか対応できる。私はいわゆるバンク・フィーダー(Bank Feeder=岸際で捕食しているトラウトのこと)に反対の岸からドラッグフリーでフライを流す釣り方が好きだ。

さて、その昨年の6月末には、このミュールシューでもマディソン同様、White Millerと呼ばれる大き目のカディス(サイズ14)がハッチしていた(写真はマディソンにて)。


情報通り、またこの大きなカディスが宙に舞っているのを見えない人はいないであろう。そして日が暮れるほど、たくさんのトラウトがライズしていた。私の選択は当然X-CaddisのWhite Millerヴァージョン。
しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たいして風も強くなく、確実にドラッグ・フリーでライズにキャストしているのに、まったく無視された。それでもトラウトは何かにライズし続けていた。何かおかしい、マディソンで午前中同じハッチであんなに釣ったのに・・・・・・・さすがに耐え切れず、水面に何が流れているのか向こう岸に行ってみた。なんと小さなカディスが大量にハッチしていた!!
聞いてないよ!?しかも、White Millerより大量にハッチしていた。トラウトはこのサイズ20~22の小さなカディスにライズしていたのだ!!!

とりあえずボックスにあった小さなカディスを結んで、釣り始めたら、やっとトラウトが私のフライを見始めた。ライズとゆうより、見に来ただけ、口で触ってみただけ、なんかそんな懐疑的な動きを観察した。なんとかこの小さいブラウンを上げたけど・・・・・・・・

その小さなカディスのハッチと私のフライへの懐疑的なライズは夕暮れまで続いた。もう一尾ブラウンを釣ったけれど、なぜか腑に落ちない。ただの小さなカディスと小さなイミテーション以外の『何か』があるのではないか、そう思って、泣きはしなかったが、『何か』が気になって仕方がなかった。

これは、この奇妙な経験の第一歩に過ぎなかった・・・・・・・・・・・
後半へ続く。

No comments:

Post a Comment