Tuesday, August 20, 2013

最小の生き物から習った最大級のレッスン-デピューにて

さて、今回のポストはややシリアス、エッセー風。いつものフィッシング・レポートとは一味違う。デピュー・スプリング・クリーク(www.depuyspringcreek.com)にてまたしても“習うことと観察すること”の大切さを実感した。私のクライアントと共に経験したことは、釣り人としての理解の領域を超えていると言っていい。結果的には謎を解いて、トラウトをしとめることができたが、釣り人としても、人間としても、釣りの間に習った最大級の授業だった。

8月18日、クライアント一人とデピューに向った。彼は、スプリング・クリークを釣るために必要な技術と道具を備えていた。一番大切なことは、積極的に習うぞ、釣るぞ、という態度!!信頼できる筋からの情報と自らのスカウトから、私は頭の中に、この日がどうなるか・どうするかという作戦と予定を組み立てていた。

午前8時集合
8時半くらいからミッジのハッチを釣る(1時間くらいか、長くなるかも)
11時~11時30分くらいからPMDハッチで午後1時くらいまで釣る
ランチ
午後はテレストリアル!バッタ、アリ、甲虫、コオロギ
5時~5時半くらいからサルファー・メイフライのハッチで6時半くらいまで続くはず
その後またミッジのハッチでライズを釣れるかも

ここで誤解しないでほしい。物事が完璧に進むことがないことを知っている。雨が降ったら?風が吹き付けたら?などなど。思考柔軟に構え、状況を分析する。その上で再考すればいい。とはいえ、スプリング・クリークのハッチはたいてい安定・一定だし、この時期の天気は予想しやすい。

朝一番、私の予定は正しかった!!ミッジのハッチとライズしているトラウトを確認して釣り始めた。何気に難しかった(今思い返せば、“朝から・・・・・”と付け加えられるが・・・)。それでも私が推すフライとそのローテーション(ソフトハックルが有効的!!)でクライアントが当たりだした!
ジャンプしながらのファイトは凄まじかった!
 食べ物チェック・・・・・・・

時間が経つにつれ、さらにライズを繰り返すトラウトの群れを見るようになった。私は、仮定したのではなく、確信を持って「PMDだ!!」と判断した。なのでPMDパターンを結んだら・・・・・ほんの2・3回フライの検査をされただけ・・・・・・それでもトラウトはライズを続けていた。なのでメッシュの収集網で、ライズ・グループを邪魔しない距離を保って、それらの上流と下流を探った。なんと小さな小さなミッジのみ。24番、さらには26番くらいのばかり。我が目を疑ったが、収集を続けた。ほんのいくつか小さいグレイのメイフライや黒のカディスも混ざっていたが、大多数はミッジだった。さらに我々の眼に明らかことは、PMD、ベイティス、カディス、など存在すれば見逃すはずのない固体が水面上になかった。トラウトはミッジを集中的に捕食しているに違いなかったのだ。

なのでPMDの予定を破棄し、自らの作戦と心構えをミッジに調整した。次に驚かされたことは、トラウトは1時30分を過ぎても、ミッジの捕食を止めなかったことだ。我々は昼食を挟むことにした。腹が減ってるだけじゃなくて、リラックスして頭の整理をしないと。午後2時過ぎに戻っても、さらにミッジへのライズが続いていた!!(もちろん収集網で調べた)

気温の上がる午後だから、ミッジ以外に、一番信用できるアリもキャストしたが、アリのパターンは全く無視された!!いくつかの当たりはやはりミッジ!!さすがにライズの翳りが見えたころ、一息ついて、バッタなどテレストリアルで釣るため、クリークの他の場所に移動した。しかし、ランチ後もミッジに対してがんばったため、テレストリアルで釣るのに最適な時間帯(午後2時から4時くらい)を犠牲にしてしまったようだった。なのでまた基の場所に戻ってきた。今度はサルファーのハッチとそれらへのライズを期待する時間帯だった。確かにサルファーはハッチした。この固体は私の指の上でニンフの外殻から抜け出した!!その瞬間連続写真!!



しかし、トラウトはサルファーのハッチにも興味を示さなかった。日が暮れるにつれ、さらにライズが・・・・・・・・やはり最小級のミッジへのライズだった!!我々はもうとことんがんばった。クライアントはも小さいフライをキャストしようと、見ようと、もう本当に働きづめ。さすがに7時半ごろ疲弊が最高潮に達し、彼が終わりにしようとうながした。トラウトはさらにライズを続けていた・・・・・・・・


つまり、結果的には、トラウトは、クリークに存在する最小級のミッジにだけ、一日中ライズを繰り返していたということ。
この状況の何がそんなに注目すべきことかと言うと、我々人間の予想・期待、さらには勉強して得た知識・科学的に証明された事実ですら、スプリング・クリークのトラウトにとって時には無意味になるということ。

  • PMDやサルファーやカディスがハッチしているのだから、トラウトはそれらを捕食“すべきなはず”なのでは?
  • 水生昆虫以外にテレストリアルも豊富な時期なのだから、トラウトはバッタやアリなどを好んで捕食“すべきなはず”なのでは?
  • トラウトは、栄養価・高カロリーでわざわざライズという運動をしてでも捕食する価値がある物を狙う“しているはず”なのでは?
  • つまり、トラウトはミッジ以外の水生・陸生昆虫を選択“しているはず”なのでは?

この“すべき”・“~~なはず”は我々人間の視点・思考であって、トラウトは全く別の視点・“嗜好”で状況を解釈していたことになる・・・・・・・・・
人間の語学に堪能なトラウトを捕まえて、インタビューでもしないと答えはみつからないんじゃないのか・・・・・・・・
たしかにイライラし神経を擦り減らす経験だったが、私はこの日のこの出来事を大敗だとは思わない。完璧な準備はできていなかったが、謎と状況を少しづつ解明し、トラウトに食わせることができたのだから。私が持っていた、簡素に巻いた22番のパターンで対応できた。私の眼では、パターンはそれほど重要ではなかったが、フライを見せる角度とドリフト(つまりはドラッグ)が焦点であった

私もクライアントも本当に必死にがんばった。そしてクリーク、各昆虫、トラウトからいろいろなことを習った。何より、一日中水面上での反応があったのだから!!
キャスティングの正確性、フライを見せる角度、小さいフライでの合わせとファイト、がクライアントにとっての宿題となった。
私にとってのこれからの課題は、上記の事柄をより簡単かつ明確に説明できるようになること。そして近い将来すぐ出くわすであろう予期し得ない状況にたいおうできるようになること。

とにもかくにもまたしてもデピューでのマスター・レベルのレッスンであった。チョー選択眼の厳しいトラウトと小さいフライを使い続けることって本当に神経衰弱だけど、この日の経験には本当に満足している。
フライフィッシング、フライ・パターン、トラウトについて勉強して知識を身につけるのはいいことだ。それら知識に基づいて、その日の作戦・予定を練ることは、釣行を成功に導くために大切なことだ。ましてやガイドならなおさら!!しかしその日が、物事が、思うように進まなかったらどうするのか?イライラして精神的に路頭に迷うのか?それとも冷静に状況を受け入れ、観察し、それを打開する作戦・予定を立てようとするのか?

また次があるなら、喜んで受けて立つよ!!

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