Monday, August 22, 2016

イエローストーン川で何が起こっているのか - By アウトフィッター

先々週末(8月13・14日)からふと持ち上がり、先週末(8月19日金曜日)から完全なる混沌に陥った・・・・・・。ちまたでは、インターネット上特有のデマと間違った情報が出回り、混乱を誤解を深めている。アウトフィッターとして、クライアントと釣り人に報告の義務がある。また、モンタナ州唯一の日本人アウトフィッターとして、日本語でできるだけ、わかりやすく説明する義務がある。
8月19日付け、かつ無期限で、イエローストーン川と全ての支流(リヴィングストンのスプリング・クリークも含めて)、釣りを始め、全ての川でのリクリエーション(ラフト、カヤック、浮き輪、泳ぐことさえ!)が全面禁止
一体何が起こったのか。今回は特別ポスト。長くなるだろうが、一項目づつまとめていこう。

私のガイド・サービスはいつも通り運営中
フロート・トリップ:マディソン川、ミズーリ川、ビッグホーン川
ウェーディング・トリップ:イエローストーン国立公園の各河川、モンタナ州内の可能な河川
私有地牧場内にある湖沼

これまでレポートしてきたよう、イエローストーン国立公園内の各河川は、今年も絶好調だ。モンタナと比べ、高地にある分、気温も涼しく、水温も低めだ。9月が近づくにつれ、公園北東部の河川=ラマー、ソーダ・ビュート、スルー=はさらに好調になる。そしてすぐに、西側のファイアーホールとマディソンも呼応する。
そして、今こそ、私有地牧場内の溜め池に挑戦すべきだ!これらは、イエローストーン川とスプリング・クリークの伝説の影であまり知られていないが、本物のトロフィー級のトラウトを仕留めるチャンスがある。ただの釣り堀と思ってはいけない!!野生化した超大型トラウトを仕留めるためには、本気で釣り続けねばならない!!
イエローストーン川とその支流・スプリング・クリークが解禁次第、即お伝えする!!

Proliferative Kidney Disease 増殖性腎臓病
8月12日・13日の週末、イエローストーン川のとある区間で、ホワイトフィッシュの大量死が報告された。週が過ぎる程、事態は深刻な物となり、州の管轄部は観察・調査を継続し、8月19日金曜日、晴天の霹靂ながらの、イエローストーン川とその支流の全面封鎖を公表したのだ。
8月19日ー全面封鎖の日
調査と分析の結果、寄生虫による病気だということだ。
英語でのリンク。
簡潔な説明
詳しい説明
さらに詳しい説明
全部英語ですが、グーグルなどの翻訳機能でなんとか読んでいただけますか。
その名の通り、寄生虫(PKX=Tetracapsuloides bryosalmonae)により引き起こされる、マス類の魚種の腎臓に影響を与える病気で、致死性が極めて高く、効果的な対処法が見つかってないやっかいな病気だ。

PKXはこれまで既にイエローストーン川のホワイトフィッシュに寄生していたのではないだろうか。そして、今年の歴史的低水位と、熱く乾燥気味の夏=つまりは川の水温の上昇=が寄生虫を活性させたのではないだろうか。

しかしここで、大きなしかしがある。なぜトラウトは影響されてないのか? 
今のところたったの1尾のレインボーの死が報告されている。
実際、先日各々アクセス場所を歩いた際、その一尾を見たと思う。

考慮すべきこと
以下は、私自身の真剣な釣り人として、またプロのガイドとしての経験に基ずく意見と分析である。

  • ここ数年、ホワイトフィッシュが急増しているのはまぎれもない事実だ。最近では、ハッチの際、我々のドライフライにも果敢にアタックしてくるようになり、その動作・フォームもまるでトラウトのそれを模写しているのでは、と思わされる程だ。
  • いうまでもなく、ホワイトフィッシュは、トラウトの居場所を占領しているといって過言ではない。
  • ここで、今年の歴史的低水位を考慮に入れてみよう。建物の収納可能範囲、車の積載同様、川にだって扱える生物の数に限界と範囲があるのだ。つまり、増殖し過ぎた種が一番目に自然の摂理・淘汰を受けるということだ。
  • 上記のリンクにあるよう、PKDは、感染した魚種の100%を死滅させる可能性があるという。しかし、私たちは、ホワイトフィッシュが全て死んでいないことを事実として認識している。
  • 大多数の死んだ個体は、3年魚と思われる30㎝から35㎝の個体だ。極少数の20㎝前後の個体の死体も発見されているが、40㎝以上の大型個体の死体はほぼ皆無だ。
  • これは何を意味しているのか?3年魚・30‐35㎝の個体が一番豊富だということ。そして、それは、私たちの釣りの経験とも合致する。
  • そして、影響を受けず、あるいは受けたかもしれないが生き延びている個体は、PKDの免疫を持っているか、そんな遺伝子を持っているからだろう。
  • それでは、なぜトラウトは影響を受けてないのか?トラウトは、流れがあり、冷たく、酸素が多い場所を好んで潜む(それらがトラウトを釣り上げるのに狙う場所だ)。最大の被害は川がゆっくりと流れる区間で起きている。そしてそこは、ホワイトフィッシュが最も増殖している区間でもある。


美談に隠されている閉鎖の真実
まず最初に、モンタナに住む者として、またスポーツマンとして、はたまた免許を交付されているアウトフィッターとして、州が定めるルールには従う。私は何気にホワイトフィッシュが好きだ。みんながみんな好きなわけではないことも知っているが。50㎝前後の個体を釣ったことがあるだろか?それはもう筆舌尽くし難い経験になる!(次のポストの予定)ホワイトフィッシュは生き残って、私達を楽しませてほしい。モンタナでのアウトドアに従事し、愛する人々は、同時に環境保護を推進する人々でもある。なので、大多数の人々が今回の決定を受け入れているのではないか。

しかし、何事そうであるよう、この美談にも、表に出ていない・隠された事実がある。モンタナの他の地域の釣り人、アメリカの他の州からの、もちろん日本からの釣り人にぜひ知っていただきたい。また私は、これらを公表する義務があると信じている。

  • イエローストーン川でのフロート・トリップと、私が達人ガイドとして名を馳せているスプリング・クリークでのガイドが禁止され、私のガイド・サービスは大打撃を受けている。これは私のようなアウトフィッターだけでなく、フライショップもかなりの悪影響を受けている。私もそうだが、待合場所に分かり易いスーパーマーケットを使う。そこも先週末から閑散としている。私が知っている限り、最も静かでかつにぎわっていないリヴィングストンの夏だ。
  • 私達ガイドだけではない。私たちの車を下流に移動させる会社の人々、ラフト・カヤック・浮き輪等のセールス・レンタルの会社も大打撃を受けているし、間接的に、ホテルやレストランも煽りを受けている。いつもの夏の釣り人が押し寄せないのだから。
  • 釣りだけでなく、レクレーションとしての川下りや、スポーツとしてのカヤック、または、単なる水泳も禁止されている。理由としては、人々あるいは、その道具がPKDを他の河川に拡散させる危険があるから、だとのこと。イエローストーン川をレクレーションとして使う人々のほとんどはリヴィングストンに住む人々で、夏の間だけ、イエローストーン川だけで楽しむはずだ。そんな人々とその道具が、どうやって他の河川に拡散することができるのだろうか?
  • またPKDは、水分が蒸発次第、死滅すると証明されている。一体どうやって我々の体と道具も持って他の河川に拡散できるというのだろうか?
  • ところで、ボートを洗うというのは、ガイドして当たり前のことだ!!次の日、新しいクライアントを迎えるにしても、同じ釣り人を複数日ガイドするにしても、使用後は必ず洗うこと!!私は、どんなに遅く家に帰ってきても、次の日のためにホースで洗い流すことを常識としている。
  • 8月19日、日中真っ只中、釣り人は、釣りをやめるよう勧告された。観察員に直接誘導された釣り人もいたという。これが文明的と言えるだろうか? 例えば、日没まで・深夜までなどと、もっとわかりやすい代替案があったはずではないだろうか?
  • 想像したくもないだろうが、死んだホワイトフィッシュは岸際に打ち上げられたままだ。管轄部は、死んだ魚数を数えただけで、清掃等の行動までには考えが回らかなったのであろう。悪臭を放ち始めている。 何かできることはあるだろうが、私たちは何も聞かされていない。
  • また、これら死体は、周囲の野獣(コヨーテ、アライグマ等)と水生野鳥の格好の餌となるだろう。 これら野生動物、特に野鳥こそ、人間なんかより、はるかにたやすくPKDを広めることになってしますのではないだろうか?何か対処するべきでは?? 
  • リヴィングストンのスプリング・クリークは私有地内にあるのだ・・・・・・これって明らかに侵入じゃないの・・・・・・

これらの決定は、管轄部にとっても苦渋だったことは理解しているし、何か解決の糸口を模索していることを期待している。しかし、それでも、ただ閉鎖すること以外に、策があるはずだ。
イエローストーン川最後の日の家族写真。
この小さい釣り人にとって、最初で最後のイエローストーン川での経験になってしまうのだろうか??


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