Wednesday, December 26, 2012

2012年ガイド・シーズン総括―その2

シーズン総括のパート2。最盛期の夏。ガイドにいそがしく、そうでなければ自ら釣りに出かけた日々をとくと御覧あれ。ちなみに私の英語版ブログが400ポスト目を迎えた。これは私の努力だけでなく、英語圏世界中からのアクセスによる賜です。こちらは日本語限定ですから、これからももっと日本からのアクセスを期待しております。

6月
6月はむしろ“実験と習うこと”の月であった。ガイド師匠のトム・トラヴィスとデピューに出かけることができた。イエローストーン国立公園(以下公園に略)の釣りのシーズンは5月の最終週末から解禁であったが、釣りになる川は限られていた。その間リチャード・パークス(パークス・フライ・ショップのオーナーかつアウトフィッター、もちろんガイドの師匠)と、来るガイド・シーズンに向けて、川・駐車場・山道の予習・復習ツアーを行った。マディソン・ギボン・ファイアーホールはこの初期の段階の釣りが最高だ(数少ない釣りになる川であるけれど)。ファイアーホールでのホワイト・ミラー・カディスのハッチは留意すべき事柄で、私の新デザインのソフトハックルは、ファイアーホールの選択眼の超厳しいトラウトにも受け入れられた。6月末は、カンザス州にて牛の人工授精の仕事があり、スプリング・クリークでの有名なPMDのハッチは見逃さざるを得なかった。トムからいろいろ情報や状況を伝授してもらった。
デピューではこの時期草の息吹が眩しい
イエローストーン公園のシーズン開幕ブラウン!-ギボン川
マディソン・ジャンクションにて巨大はホワイティ!
ファイアーホールのキレイだけど選択眼が厳しいレインボー
7月
ガイドシーズンが遂にキックオフ!!イエローストーン川が完璧なコンディションだった。大きなカワゲラ=サーモンフライのハッチとそれを飲み込むトラウトのライズはもう最高!!パークス所在のガーディナーの街からヤンキー・ジム・キャニオンまでのセクションのフロートが楽しかった。ブラック・キャニオンという公園内のセクションではハッチは7月半ばまで続き、産卵を終えたネイティヴのカットスロートはここぞとばかりに大きな栄養源にライズした。
我々側の公園内の河川で最初に釣りが可能になったのは、ガードナー川だった。下流では同様のサーモンフライのハッチが起こり、上流では小さくても元気なブルックトラウトがドライフライにバシバシ出てきて、我々を楽しませてくれた。私個人の釣りと実験もこれらふたつの川で行われた。ラマー、ソーダビュート、スルーには単に出かける時間を取れなかった。
パクストンがドライで合わせた立派なレインボー。ガードナー川 
チャーリー
レポートするに値するニュース:ラマーと(または)ソーダビュートのはるか上流の山岳での嵐のせいで、土砂崩れを伴う短期的な氾濫が7月に3回も起こり、その度イエローストーン川では釣りは全く不能になってしまったことだ。パークスでは天気・水位の変化のウェブサイトを逐一チェックしていた。イエローストーン川は大きいので、それらの小規模な氾濫を吸収してしまい、水位は春の雪代ほどにはならないけれど、濁りが釣りに多大に影響する。わずかでも濁りを観察したら、釣りはもう終わり・魚は全く無反応になる(たとえニンフで深く釣っても)。我々パークスのガイドは、その氾濫の先(つまりはるか下流)のセクションでフロートトリップを行った。しかし、それでも何件か予約をキャンセルせざるを得なくなってしまった。“緑茶”が突然“チョコレートモカ”に変わる光景は圧巻。そうなってしまったら、イエローストーン川は2・3日全く釣りにならない。しかし水が澄みだしたら、その直後の釣りはこれまた最高であった!!小規模の氾濫は川を再調整し、魚も小休止を得たようであった。リヴィングストンとガーディナー間を通勤する際(片道約80km、1時間ほど)、川の“グラデーション”を観察するのはある意味楽しかった。
“ミニ”雪代直後のリンクのキャッチ!
7月末に、日程が空き、一般の釣り人としてデピューを訪れた。釣り人と車の渋滞から解放され、ゆっくりリラックスしたひとときであった。もちろん釣りも最高!!各種ハッチとテレストリアルのドライフライで、休日だというのに、結局夜9時過ぎまで釣ってしまった。
デピューにて。テレストリアルでゴージャスなカットがライズ! 
8月
7月の最終週は熱く、乾燥していて、その天候は8月の最初の二週も続いた。7月末には、水草・藻が発生し始めたのを観察していたので、8月に入ると、水草はさらに茂っていった。リヴィングストンの南=上流のゆっくりしたセクションでは特にひどかった。日照りと低水位のせいで、水温は(特に暑い日の午後には)20℃に達した。トラウトも潜む場所・活動を変えた。ストリーマーやニンフで深く釣ろうとすると、3回キャストするたび、ノロをフライから除去しなければならなかった。
誕生日の前日。イエローストーン公園内の誰も足を踏み入れてない場所にて 
リヴィングストンと姉妹都市の群馬県長野原町の子供たちがこちらを訪問の際キャスティングレッスン 
メイソンは私の最年少クライアント!立派な釣り人になること間違い無し! 
8月半ばから、少なくとも熱さは和らぎ、水温もやや下がり目になった。ヤンキー・ジム・キャニオンの上流=パークス・ガイドのホーム・リバー=はまた楽しい釣りになった!!大きめのアトラクターやホッパー=バッタ=と小さめのアトラクターを後ろに結んだり、ニンフを落としたり、が効果的だった。ホッパーに関しては、私は小さめ=サイズ14・16番を選択し、私のクライアントは大当たりであった。私の理由としては、7月初めには大きいカワゲラで釣ったし、その後も大き目のアトラクターを多用したから、いざホッパーの時期になったら、さすがにトラウトも大きい浮遊物には飽きて、警戒心を抱くだろうということ。またこの低水位の状況では、トラウトは、典型的な岸際のポイントではなく、深さに関わらず少しでも流れがある場所に居着いていることを観察・発見した。月末の頃には、小さいグレイ・オリーヴのメイフライがある特定の場所でハッチしていることを観察し、ライズへのドライフライを楽しめた。またホッパーへの当たりが翳ってきたかと思えた時期には、アント=アリ=が最重要フライだった。ラマーとスルーは最盛期であったが、それは同時に釣り人交通の渋滞の時期でもあったということ。マディソン・ギボン・ファイアーホールは水温が上昇しすぎたため、8月全般禁漁になった。これは私個人の推測(でもかなり自信アリ!!)だが、ウェスト・イエローストーンを訪問した釣り人・旅行者は、このあおりを受けて、ラマー、ソーダビュート、スルーに向ってきたのだろう。またギャラティン(公園内からモンタナ州まで)もかなり混雑していたことは容易に想像がつく。同時にマディソンのモンタナ州のセクションもごった返しだったであろう。
立派なカットスロート
マーク
ミネソタからお越しのレディー・アングラー。
パークス・ガイドのグループ・トリップ:ノース・キャロライナからの釣り人グループを伴って 


上級アングラーばかりで素晴らしいトリップだった。
晩夏にかけてアリがいかに大切だったことか!!
西村さん御夫妻


イエローストーン川・ブラックキャニオンを案内しました。


9月
8月末からウェイダーを着用するようになった。まだ水温も気温も暖かかったけれど、それでも腰の辺りまで川に浸ってボートを押さえるのには冷たくなってきた。月の前半、イエローストーン川は、夏の経験・出来事と秋の予感の交錯した状況であった。ホッパー+ドロッパーやアトラクター・ドライは未だに有効であったが、浮き釣りニンフも積極的に行うようになった。小さいストリーマー(ウーリー・バガーなど)をストリップしたり、浮きの下で使ったりなども行うようになった。
どうせ今年も私が自ら設定したホワイトフィッシュ・コンテストのチャンピオンだろう! 
リンクが小さ目ウーリーで釣り上げた丸々レインボー。上流より。 
そして、ラマー、ソーダビュート、スルーはシーズンの絶頂期を迎えた!!8月に比べ、さすがに人混みが解消された。グリーン・ドレイク、アント(羽アリか普通の)、ミッジがトラウトの主食となった。この時期には、特に大きいトラウト(カットスロート、レインボー、カットボー交雑)は、我々のフライに対して、警戒心を強め、あるいは厭きたようになってしまっていた。しかし、慎重に取り組んで、トラウトが我々のフライを咥え込んだ瞬間の快感はたまらない!!
ヴィンセント医師はラマー川にてグリーンドレイクのハッチの際至極のマッチ・ザ・ハッチを楽しんだ! 
サイト・フィッシングでしっかり合わせるとこうなる!!
私もグリードレイクのハッチで自己最高のカットを釣った!
スルー・クリーク下流草原が今年も頭痛と歓喜を与えてくれた。 
月後半、イエローストーン川のフロートでは、ベイティスとミッジのハッチを狙って釣るようになった。他のボートは浮き釣りニンフ一本槍かストリーマーを引きずるような釣り方で、さっさと川をくだっていたが、私とクライアントは、ハッチのタイミングを見計らって、ライズのグループと流れを確認してからボートを止め、ハッチとライズが終わるまで思う存分ドライフライで楽しんだ。もちろんその前後にニンフで釣るのは重要かつ効果的。秋の気配を感じるようになると、ホワイトフィッシュも産卵期を迎え、積極的にアタックしてきて、引きが強いのなんの!またガードナー川には、イエローストーン川から産卵期を迎えるブラウントラウトが溯上するようになり、しばしば大物が報告されるようになった!!
ヴァーモントからの上級アングラー

*ストメック・ポンプ=胃の中の捕食物の採取
この実際の釣りに全く関係ないと思われがちな小さいテクニックについてわざわざ段落を設けようと決めたのは8月下旬から9月全般にかけての経験・出来事を詳細にレポートしたいからだ。まず7月にいよいよ釣り始めた直後、トラウトは、我々のフライが何かしら捕食物(カワゲラ、メイフライ、ホッパーなど)を模していて、正しくプレゼンテーションされれば、ライズしてきた。その意味で、大小様々なアトラクターは重要であった。しかし8月が過ぎるに連れ、フライの選択に時間を費やし、もっと真剣に考えるようになった。前日の当たりフライが、次の日には全く効かないときもあった。なので、スポイトで胃のサンプル採取を習慣付けるようになった。ほとんどの場合、私の推測とパークスのガイド間の情報交換は正しかったが、胃のサンプル採取によって、さらに自信を深めた。最たる例がアント=アリ(羽の有無両方)であった。テレストリアルは空中・水面にハッチするわけではないから、それらのフライを使う時期と場所を知らなければならない。特にアリは色とサイズのためとても見ずらい(その意味ではビートル=甲虫も同じ)。胃の中の捕食物を観察することによって、私とクライアントは自信を持って釣り続けることができた。また、すでにハッチを観察していて、トラウトを何匹が釣った場合であっても、サンプルによって、トラウトはハッチのどのステージを捕食していたのかを観察できた。繰り返すが、この小さいテクニックと“気付き”が、厳しくかつチャレンジの状況で、いかに効果的であったかを声を大にしてレポートしたい。



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