Saturday, August 6, 2011

誕生日にスルー・クリーク~カットスロートの秘境

昨日8月6日は私の誕生日。誕生日の釣りは過去数年思いで深い結果となり、2008年には単に最高の釣りを経験し、2009年には”神懸り”的な経験をした(2010年は牛の仕事・・・・)。今年も何か期待できるのか?結論から言えば、釣りは平均の釣果だった。当たり前かも。誕生日の威光が薄れたとは思わないが(特に私が年を重ねるせいで!!)、今はもう釣りのガイドが仕事なのだ。個人的に楽しもうと思っても、ガイドの性でつい観察と分析に時間を割いてしまう。それでも楽しかった。振り返ってみよう。

私が選んだのは、イエローストーン公園内のスルー・クリーク。スルー・クリークには上流にハイキングと乗馬で辿り着ける3つもの草地に囲まれた美しい流れがあるが、私が選んだのは、下流の草地(これはまた別のガイド間の話などで、詳細は後ほど)。

クリークとはいえ、特に下流になると川幅も広くなり、かなり深い淵も存在する。


このゆったりとした流れも、いずれは峡谷になり、いずれラマー川(来週の釣行予定)に合流するのだ。


朝早く出発したが、それでも思ったより早く着いて、釣りを始めることができた。ハッチの情報は、2・3種類のメイフライと、1種のカワゲラが主だったが、この時期ならいくつかのカディスも存在すると思った。アトラクタードライではじめたが、ライズという感じがなかったので、ソフトハックルのスイングで様子を見ることにした。私の常道フライはこのカディス・ソフトハックル。これはまさしく万能フライで、ドライフライとしてデッドドリフトしても視認性が良いし、その後水面下をスイングさせても効果覿面なのだ。


大きなライズと共に合わせたら、大きいと感じた。走る!!走る!! そしてジャンプを繰り返す!!カットスロートとは違うな、と思ったら、交雑種のカットボーだった!!(Cut-throatのCUTとRainbowのBOWを合わせた造語)。カットスロートの様に、ドライにライズしてきたら、その後はレインボーの如く走りまくったのだ!!


ちょうど見かけも交雑でしょう。斑点はカットスロートのようだが、喉下にオレンジの線がない。でもいい面構えだ。


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ここで誕生日にも関わらずアクシデント発生!!
釣り下がっていくと、それほど好感触でない場所に来たから、背中側の浅瀬に戻って、移動しようとした。振り返ると川底というか、砂が盛り上がっているだけだったので、気にせず一歩二歩踏み込むとスネの真ん中まで足を飲まれた。すぐ先には硬そうな小島もあるし、大丈夫だと思い、進んだら、次の右足での一歩は、なんと足の付け根まで砂の中に飲み込まれてしまった!!この砂地は流砂だったのだ!!なんとか左足は自由だったか、右足全体が完全に埋められて、全く動けない状態。特にウェーディングブーツが引っ掛かっているようだった。砂だから右手で砂を掘っても延々と続くと思った。ふとテレビで見る"サヴァイヴァル系”の番組を思い出した。「どうやって生き残ったか?」などと・・・・・・まず私が苦しんでいる間に蚊に容赦無く襲われるだろう、そしていずれ熊が私を見つけてもがいているところを夕食に食べるだろうと思った。

しかし、他にもクリークを釣っている人が何人かいるのを知っていたから、いずれ誰かが私を見つけてくれると思った。そうすると、ふと二人組みが丘の上から私を見つめていたので、手を振って知らせた。“釣りの神”は平均の釣りしか提供してくれなかったが、その代わりに助けを送ってくれたのだ!!父と子で、父が私の窮地に近づいて来てくれた。しかし、私に手を伸ばすほど近づくと、父も埋まってしまうかもしれないので、注意した。でも助けが必要。少なくとも私のロッドを受け取ってもらい、左手が空いたから、右手でもう少し砂を掘ることができて、両手で這ってなんとか脱出!!しかし、息も絶え絶えだったので、父が私の手を取り、なんとか砂場を脱出!!

熊より早く助けが来ました。ありがとうございます。」と冗談にもならない御礼をした。

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息を整え、濡れたフライを乾かし、釣りを再開すると、11時過ぎくらいから、水生昆虫とライズが水面に見え始めた。大きめのメイフライ(サイズ10か12)のグレイ・ドレイクのハッチで、そんな大きいメイフライを、トラウトはガブリと音を立てて飲み込むのだ!!クラシックなスパークル・ダンが効果的。


詳細は別の機会にしたいと思うが、スルーのこの区間は、流れに様々な特徴があり、デッドドリフトがとても難しい。しかも私は50フィート以上キャストしていたので、合わせも難しい。 いくつかの合わせ・バラシの繰り返しの後、大きいライズについに合わせた!!またしても元気なカットボーがやはりグレイ・ドレイクを捕食していたのだ!!


これらカットボーはまさしくHybrid Vigor=雑種強勢ではないのか? この大きさで5番ロッドをしならせ、なかなか上がってこないのは経験無い!!


残念ながら、ハッチはそれほど続かなかった。しかし、快晴で風が吹いたり止んだりを繰り返していたので、この時期の午後はテレストリアルでの釣りが期待できる。ホッパー=バッタがやはり効果ある。同時にホッパーの後ろに50cmくらいのティペットを結んでアリや甲虫など小さめのテレストリアルを結ぶと効果2倍間違いナシ!!恥ずかしながらスレだったけど、ついにネイティヴのイエロストーン・カットスロートも出てきた!!カットボーとは全然違うでしょう?


この後またホッパーに大きな影がライズしてきて、今度はしっかり合わせたが、またしても淵の底までギュンギュン引っ張り、外されてしまった。そしてそれが昨日最後に見たトラウトになってしまった。


一日中歩き回ってクタクタになり、またしても楽しい誕生日になった。ある意味、流砂に飲み込まれる経験なんて滅多にできない??そして、元気なトラウト!!

先日ポストしたよう、イエローストーン公園のガイド許可証を持った店にも雇ってもらえることになったので、これからはスルー・クリークもガイド河川の対象になります。スルーもガードナー川同様、日本人受けするの間違いナシです。しかも、私が釣った区間は厳しいマッチ・ザ・ハッチの知識とフライ選択、そしてミスの許されないフライの流し方が求められるのです。そして、私が釣り上げた個体は、この区間にとっては、あのファイトにも関わらずまだまだ小物なのも知っています。もっと大きいレインボーとカットスロートとカットボーが存在するのです。スルーの詳細はまた後で。

19世紀の山男達が歩いた当時を全く同じ景色の中、野生のトラウトを追い掛けてみませんか?

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